社会人からパイロットを目指す3ルートについて考える
今回は社会人からパイロットを目指す上での大まかなルートについて考えてみようと思う。(但し、具体的にどこのスクールが良いとか、どの国で免許を取得すべきかという話ではないです)
あくまでざっくりと、社会人からパイロットを目指す上で一般的と考えられるルートを並べてみて、私個人の価値観に照らし合わせてそれぞれのメリットやデメリットについて考察していく。
個々人で仕事との兼ね合いや資金の多寡、扶養家族の有無など状況に応じて最適解は異なるが、ざっくり以下の2つに大別されるのでは?と考えられる。
その2つとは、
仕事を完全に辞めて訓練に専念するか?
仕事と訓練の両立の道を取るか?
それではそれぞれについて、取得見込み期間や費用など、メリットやリスクについて考えてみよう。
ちなみに訓練に関してだが、少なくともPPLは海外で取得する(日本国エアラインに就職を考えている場合、JCAB書換する)ものとして想定している。
CPL〜の上級ライセンスに関してはJCABライセンスかCTTA/FAAライセンスで費用は大きく変わってくるが、私個人としては、ファーストキャリアは日本国内でパイロットになりたいと考えていることを申し添えておく。
(※取得見込み期間や費用は社会人からパイロットを目指す訓練生の方にお会いした時のお話や、ブログ等からの情報を基に推定したものですが、必ずしもこれが私を含めた個々人に当てはまるかどうかは分からないので、あくまで目安としてお考え下さい)
5〜10年くらいのスパンでそれぞれのルートでどのようなメリットやリスクがあるのか、自分なりにノートに書き出してみた.我ながら汚い字だ…
A. 完全退職→ライセンス取得
- 取得見込み期間:2-3年
- メリット:訓練に集中的に取り組むことが出来る
- リスク:訓練を始めてから適性が無いと分かった場合に、後戻り出来ない
決して多いとは言えない私の情報収集の範囲内ではあるが、このパターンが一番多い。
メリットとしては、仕事を辞めて訓練にどっぷり集中出来ることだろう。また、仕事を辞めてまで取り組むのだから、割り切って本気で努力するしかない。人生を賭けて自分を追い込み、夢を追いかけることは人生の中でかけがえのない経験になりそうだ。
一方で、デメリットもある。1つは、上述した通り、訓練を始めてから適性が無いと判明した場合 (操縦的な適性も勿論あるが、健康を損ねて身体的基準を満たせなくなった場合) に、非常に厳しい状況に陥る可能性がある点。
これに関しては、渡航/訓練開始前に入念に準備や適性の確認を怠らず、万一に備えたリスクヘッジを念頭においておく他ない。
この問題はたとえプロになれたとしてもパイロットである限り付随してくる問題であるから、人生におけるセーフティネットの構築と、日々の健康維持が重要になってくることは間違いない。
続いて2つ目のルートである、仕事を継続しながらライセンスを取得していく場合について考えてみたい。
B. 仕事を継続しつつ、分割渡航でライセンスを取得
仕事は続けつつ、GWやお盆休み、冬季休暇などの長期休暇を利用し、海外で訓練を進める場合について考えていく。
この場合には、仕事をいつまで続けるかというファクタが問題になってくる。
B-1. 分割渡航でPPLまで取得→完全退職して残りのライセンスを取得
- 取得見込み期間:4〜5年
- メリット:ある程度適性を見極めた上で、集中的に上級ライセンス取得に臨むことが出来る
- リスク:毎回の渡航費が掛かるため、想定していたペースで訓練が進まない場合、費用が予想以上に嵩むことになる
完全退職の次に多いのがこのパターンである。PPLまでは仕事に通いながら取得し、ある程度適性を見極めた上で上級ライセンスの取得に臨めることがメリット。
もしここでプロのパイロットが厳しそうだ…となったとしても、自分で飛行機を操縦できるわけだから、それはそれで幸せなことである。
とはいえ、PPL取得の時点で適性を完全に把握できるとは言い切れないし、そう簡単に底を知ることが出来るほど浅いものでは無いということも十分に考えられる。
デメリットとしては、訓練の進捗が芳しくない場合、渡航費が嵩んでしまう点。訓練の進捗には、自身の操縦適性というコントローラブルな因子の他に、天候やインストラクターの都合などのアンコトローラブルな因子も絡んでくるので、運の要素も大きい。
最も少ない人で、PPLを取得するまでに5回の渡航 (カナダ西海岸)。掛かった費用は渡航費を含めて150万円ほどだったとのこと。
B-2. 分割渡航でPPL, CPL, 多発, 計器の全ての必要ライセンスを取得
- 取得見込み期間:6-8年
- メリット:手元にある程度資金を残しながら訓練を進めることができる
- リスク:訓練過程が時期間に渡る。仕事との両立を続けることが出来るか否か。渡航費が嵩む
これについてはほとんど聞かなかったのだが、カナダのフライトスクールを訪ねた際に、こちらのルートで取得された方がいらっしゃったとのこと。
扶養家族がいて仕事を辞める訳にも行かないが、パイロットの夢を諦めきれずにこうして訓練を続けていた方が昔(?)いらっしゃったようです。(その方のその後を確かめるのを失念してしまったのが悔やまれる)
やはり訓練期間も長く、日本にいる間にもいかに勘を鈍らせないように努力を続けられるかがかなり重要だろう。長期に渡って訓練と仕事を両立し続けるのはなかりの労力を要することであるし、夢への強い気持ちがあってこそ。
個人の状況によってはこのようなルートも選択肢になり得そうです。
終わりに
大雑把ではあるものの、社会人からパイロットを目指す場合を3つのルートに分けて考えてみた。各人の状況によって取りうる最適解は異なる。
これらの中で、敢えて私が考えているルートを挙げるとすれば、現状は
B-1. 分割渡航でPPLまで取得→完全退職して残りのライセンスを取得
である。メリット・デメリットを総合的に考えてのこと。
この記事を書くにあたって痛感したことがいくつかあった。
- 訓練過程に関する(お金や訓練期間以外の)具体的なイメージに乏しい
- エアライン就職後のキャリアイメージが皆無に等しい
本記事を書いたことで、パイロットを目指す社会人の方や訓練過程にいる方は勿論、特に現役で活躍されているパイロットの方の視点を知りたいと感じた。
これからも積極的に情報収集に努め、自分の人生の選択の一助として行きたい。
(皆様のコメントやご指摘も何卒よろしくお願い致します。)
それでは今回はこの辺で失礼します。